板谷国際特許事務所- Itaya & Associates

裁判事例


米国での特許裁判事例


<プロパテント時代の均等論と現在の均等論対比>

■コーニング社 対 住友電工 「光ファイバ」特許事件
 1987年ニューヨーク連邦地裁 住友電工敗訴 1989年連邦巡回区控訴裁判所(CAFC) 控訴棄却 和解金2,500万ドル(約33億円)
 コーニング社特許USP3,659,915のクレーム
「純粋な酸化ケイ素からなるクラッドと、15重量%以下の不純物を添加した酸化ケイ素からなるコアとによって形成される光ファイバ」
 住友電工の光ファイバ
 S3ファイバ:コアに不純物を加えることなく、そのコアを、1重量%のフッ素を加えたクラッドで被覆したもの、クラッドは石英ガラス(注:フッ素を加えてクラッドの屈折率を下げることは新規)
 コーニング社特許には、素材として石英ガラスを用いることは開示していたが、コアに添加する不純物としてゲルマニウムを使うことついては開示なし。
 判決:S3ファイバは、コアに添加したゲルマニウムを、クラッドに添加したフッ素に置き換え、屈折率の差を得ている。したがって、実質的に同一の方法で、同一の作用を持ち、同一の結果を得ている。基本特許は広く解釈すべきであり、広い均等の範囲がある。この均等の原理(Doctrine of Equivalence)は、発明時にたとえ石英ガラスにフッ素を添加して屈折率を下げることが知られていなかったにせよ、適用される。※米国は1985年からプロパテント政策(レーガン大統領)
 参考文献:「プロパテント・ウォーズ」上山明博著 文春新書発行


■最近の米国での均等論・フェスト社 対 焼結金属工業(株)事件CAFC(高裁)判決2000.11.29と最高裁判決2002.5.28
 CAFC判決:法の要件を満たすためにクレームを狭くする補正を行った場合(先行技術にかかる理由でなく、112条による記載要件に対する補正も含む)、禁反言が働き、禁反言が働く場合、その補正した構成要件については一切均等は認められない(1997年ヒルトンデービス判決では、特許性に関する理由でクレームを補正した場合に禁反言が働く) 最高裁判決:高裁判決を支持するも、補正によって放棄した主題以外についてまで均等論の適用を妨げるものではないと判示し、特許権者に、侵害品が補正によって放棄した主題でないことの立証責任を負わせた。