板谷国際特許事務所- Itaya & Associates

マドリッド協定議定書に基づく国際登録出願について

1.「標章の国際登録に関するマドリッド協定ついての議定書」(PROTOCOL RELATING TO THE MADRID AGREEMENT CONCERNING THE INTERNATIONAL REGISTRATION OF MARKS)は、「標章の国際登録に関するマドリッド協定」を修正・補完する条約で、商標の国際登録を通じて、迅速・簡易な保護を目的として、1989年6月27日にマドリッドで採択され、1995年12月に発効し、1996年4月から運用が始まりました。日本は2000年3月14日に42番目の加盟国となりました。

2.手続き

日本の特許庁に出願又は登録されている商標を基礎として、WIPO国際事務局に国際出願を行います。願書を日本国特許庁に提出すると、2ヶ月以内に日本特許庁からWIPO国際事務局へ提出され、方式審査を経て国際登録されます。WIPO国際事務局は願書に記載された指定国官庁に通報することとなります。

3.指定できる国

マドリッド協定議定書の締約国のみです。マドプロを利用したアメリカ出願は2003年11月2日から可能となり、欧州共同体商標の出願は、2004年10月1日から可能となりました。中国、韓国も加盟国です。なお、自国指定は認められていません。

4.マドプロ出願のメリット

マドリッド協定議定書出願では、一つの手続き(英語)で加盟している各国での権利取得が可能となる点です。このため手続きが簡素化され経費も節減でき、18ヶ月(最長)以内に登録することができます。例えば、一類を40ヶ国に出願する場合、約60万円で、権利取得ができます。

5.保護の対象となる出願は

日本の特許庁に出願中もしくは登録された商標を基礎とする国際登録出願です(防護標章登録出願も可)。国際登録する商標は、日本出願と同一のものである必要があります。例えば基礎登録がローマ字と漢字の二段書きであった場合、国際登録出願をローマ字だけにすることはできません。商品・役務に関しては基礎出願又は基礎登録の商品・役務の範囲と実質的に同一又はその範囲内でなければなりません。

6.国際登録の事後指定とは

事後指定とは、国際登録出願後に指定国を足すことです。

7.国際登録の存続期間は

国際登録日から、10年にわたって効果を有します。また、更新可能です。

8.セントラルアタックの問題

国際登録の日から5年以内に基礎出願もしくは基礎登録が更新されていないと、国際登録も取り消されてしまいます。例えば、基礎出願が拒絶されてしまうと、自動的に、その出願を基礎にした国際登録も拒絶され、抹消され取り消されます。セントラルアタックにより商品(役務)の全部又は一部について国際登録が取り消された場合には、名義人は、取り消された商品(役務)に関して指定国へ商標登録出願を行うことができ、規定の要件を満たす場合は国際登録日にされた商標登録出願と見なされます。

9.国際出願の手数料は

(1)国際事務局へ納付する国際手数料

基本手数料及び各国の個別手数料等を支払う必要があり、支払はスイスの口座に銀行振込する方法が一般的です。なお、代理人手数料は別途。

(2)日本国特許庁へ納付する手数料

手数料9000円を納付する必要があります。なお、代理人手数料は別途。

10.欧州共同体商標(Community Trade Mark;CTM)との関係

欧州連合がマドリッドプロトコル制度の一員となった(2004年10月1日)ことで、CTM登録の所有権者は、CTM登録に基づいてそのマークの保護を国際的に拡張することができます。WIPOに国際登録出願の提出を行なう際に欧州連合を指定することによって、CTM登録することができます。

CTMとは、OHIM(欧州共同体商標意匠庁)における1件の登録で欧州連合(European Union)加盟国全体カバーする商標権を指します。国内の商標出願登録をすることも、CTMの出願をすることも、両方に出願することもできます。

一つの出願手続きでEU加盟国全てをカバーする商標権の取得が可能となります。また、更新などの手続も一度で済むため、商標管理が容易、費用が安くなります(EU加盟国の3カ国以上の場合は、CTM出願が有利)。EU加盟国のいずれか一カ国で商標を使用していれば不使用取消を免れることができます。

但し、CTM出願が拒絶になるとEU加盟国全部にその効力が及びますが(取消、無効についても権利は一体として扱われる)、拒絶がなかった国については通常の各国出願に変更することもできます。CTM出願は、相対的拒絶理由の審査がされずに、方式と絶対的拒絶理由の審査だけが行われて登録になることから、同一、類似の商標が数多く併存し、異議申し立てを受けることがあります。